臨床心理士の希望論
私たちは、変化を恐れる生き物だ。 心理学では、現状維持バイアスと呼ばれる傾向があり、未知の選択肢よりも、たとえ不満があっても慣れた場所を選びがち。 なぜなら、脳は予測できる事を安心材料とし、予測できない未来に強いストレス反応を示すから。 知ら…
私たちは、「夢は大きく持て」と言われて育つ事が多い。 しかし、心理学的に見ると、大きすぎる夢はかえって心を疲弊させる事がある。 なぜなら、人間の脳は、現実とのギャップに敏感だから。 目標が大きすぎて、手が届かないと感じると、脳はストレスホルモ…
極端な貧乏状態では、人は何とか生き延びる為、今やる事に必死で、自分の存在意義や生きる意味を考える暇がない。 一方、ある程度豊かになると、生存の為の戦いが減り、「自分はなぜ生きるのか」とか、「この人生で本当に幸せか」という、哲学的な問いに向き…
仕事や人間関係でストレスがたまると、つい甘いものに手が伸びてしまう事ってあるよね。 でも実は、この「ストレス食べ」は、脳の働きからみるとあまりおすすめ出来ない。 ストレスを感じているとき、脳はアドレナリン(危険を察知して、心拍数を上げて、身…
「ひとつくらいなら…別にいいかな」 そう思った瞬間、脳は小さな快楽に傾く。 心理学では、これをスリップ(一時的で局所的な逸脱、目標に対する小さな失敗)と呼ぶ。 最初は小さな妥協(快楽に負ける行動)でも、それを繰り返すうちに、脳はそれを習慣とし…
人は楽しいから笑うのではない。 笑うから楽しいのだ。 これはアメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズの有名な言葉だ。 笑うから楽しい、というのは、行動が気分をつくる脳の仕組みである。 多くの人は普段、楽しいから笑う、悲しいから泣く、と考…
いま、やるコト。 いま、自分がやるべき事がわからない、という悩みは、多くの人が抱えていると思う。 でも、心理学の視点から見ると、この迷いの正体はとてもシンプルだ。 人間の脳は、未来の不安と過去の後悔を繰り返しシミュレーションするように出来てい…
私たちの脳は、本来、生き延びる為の苦しみに反応して働くようにできている。 目の前に敵が現れたときや、大切な誰かを守らなければならないとき、そんなときに分泌されるのが、アドレナリンやノルアドレナリンで、これらは心拍数を上げ、思考を研ぎ澄まし、…
よし、これをやろう!……と思った瞬間に、すぐに動ける人っているよね。 一方で、「ああ…やらなきゃダメなのに~」と分かっているのに、なかなか腰が上がらない人もいる。 この差は、意志の強さだけで決まるわけではない。 実は、持ち物の多さが脳に大きな影…
現状を手放す事が、なぜこんなに難しいのか? 私たちは、ときどき、「このままじゃいけない」とか「このままではダメだから、絶対に変えなきゃいけない」と、真剣に思いながらも、 なぜか現状を手放せずに、同じ場所にとどまり続けてしまう。 それは、意志が…
なんか……今日はやる気がしない。 誰にでも、そんな日があるよね。 実はこのやる気が出ない、という状態は、脳と心が発しているサインでもある。 やる気はドーパミンと深い関わりがあり、ドーパミンは報酬予測を担っていて、「これをやったら、快楽があるぞ!…
夜、布団に入ったはずなのに、まぶたの奥が冴えわたったり、体がベッドに沈み込むどころか、むしろ動き出したくてたまらなくなる。 そんな経験した事、ある? これは単なる、眠れない、という不眠ではなく、脳と心が未来に向けて準備を始めているサインだ。 …
虚しいって、なんだろう? 虚しさは、静かに訪れる心の空洞だと思う。 一日が終わり、孤独を感じながら、部屋にひとりで座っているとき。 長い間、追いかけてきた事を、諦めた瞬間。 職場や仕事など、社会的な地位や拠り所が崩れたとき。 生きる希望を、見失…
今日は、なんか、やる気がしない…。 そんな日も、あるよね。 やる気が出ないのは、脳が、エネルギーを節約している状態だから。 つまり、やる気がない自分を、責める必要はない。 でも、ずっと何もしないままだと、さらに脳が、このまま休んでいていいんだ、…
生きていくという事は、もともと、楽な事ではないよね。 それどころか、脳の仕組みそのものが、私たちを絶望へと導くように設計されている…ような気がする。 私たちの脳は、進化の過程で、不安や恐れを強く感じるように作られた。 生き延びる為には、楽しい…