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ボランティアでカウンセリングをしていると、時間が止まっている、としか言いようのない方々に出会う事がある。
引きこもりの方がそう。
外に出る事を避け、自分の部屋にとどまり続けるのは、それは単に人との関わりを避けているだけではなく、時の流れを拒むという行為でもある。
これは、物を溜め込む事にも通じている。
本や服から、どーでもいい紙袋やチラシとか、使わない家具まで、いつか使うかもしれない、大事だから捨てられない…そういう理由で残しているのではなく、ただ単に、そのままにしておく心理で保管している。
すると、それらの「モノ」は、やがて更新されない「時間」となり、部屋の中に積み重なっていく。
物を整理しないという事は、過去の出来事や自分の歴史を処理しない、という事でもあり、つまり、いまの自分を先に進ませない。
時を止めて、動かないままにしておく。
そうする事で、人は、傷ついた心を守ろうとしているのかも知れない。
ただし、時を止める事には代償がある。
物が積み重なると、やがて身動きがとれなくなり、同じように、心の中でも「動けない自分」が固まってしまう。
昨日と同じ今日が続く事に、ある種の安心感を取得できるけど、それは、いつしか窒息感や閉塞感へと変わっていく。
臨床心理士の有資格者として私が思うのは、人間は「時間を止めたい」と願うとき、必ず何かに怯えている、という事。
先へ進めば、新しい不安が待っている。
だからこそ、今をそのまま凍結させる事で、自分を守っている。
引きこもりや物の溜め込みは、そうした心の叫びの表れなのだと思う。
時を止める事は、生き延びるための戦略でもある。
だけど、ずっと止め続ける事はできない。
心も身体も、やがては「動かなければならない」と訴え始める。
そのときに、人は初めて、止めていた時間と向き合わざるをえなくなる。
けれど、恐れる事はない。
止めていた時間と向き合う事は、恐ろしい事のように思えても、実際には、小さな一歩からで良い。
まずは物をひとつ手放す、カーテンを開けて光を入れる、ほんの数分だけ外の空気を吸う。
その小さな動きが、止まっていた時間を少しずつ流し始める。
止まった時間を一気に取り戻す必要はない。
僅かでも「今日の一歩」を積み重ねるだけで、心は確かに前へと動いていく…と思う、今日この頃です。
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