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第三者委員会による中居正広への守秘義務の解除に向けた折衝は、適切だったのか?

2023年6月2日、タレント中居正広の自宅マンションにおいて、女性Aさんが中居正広から性暴力を受けたと、第三者委員会が認定した件は、現在も社会的関心を集め続けている。

 

この問題は、単なる個別のトラブルにとどまらず、「守秘義務契約」という法的枠組みと、それが第三者委員会の調査判断にどのように影響を与えるのかという、非常に複雑で繊細な構造を孕んでいる。

 

第三者委員会の報告書によれば、調査の過程において、女性Aさんは委員会の求めに対し守秘義務の解除に「応じる」と返答した一方で、中居正広は「解除に応じない」としたと記載されている。

 

しかし、2025年5月12日、中居正広の弁護団は「むしろ中居正広自身が当初、守秘義務の解除を提案していた」という反論が示された。

 

中居正広の弁護団は、第三者委員会からは「2023年6月2日、中居正広の自宅マンションの密室で何が行われたかは直接の調査対象ではない」と明言されたにもかかわらず、最終的な報告書には「中居正広が守秘義務解除に応じなかった」と明記され、まるでその消極的態度が、性暴力認定の根拠の一部とされたような記述が存在していたことに強く疑義を呈している。

 

ちょっと話の論点がズレるけど、私が注目するのは、「守秘義務の解除に応じなかった」という事実が、行為の有無に関する証拠や客観的資料と同等、あるいはそれ以上の意味合いを持って扱われた点だ。

 

これは、刑事・民事を問わず、沈黙の権利や契約上の義務を守るという当事者の行動が、不利益な評価に直結してしまう可能性を示唆している。

 

そうなると、性トラブルが発生した場合に多くの加害者は、「多額の示談金を支払って守秘義務を含めた示談契約を締結しても無意味なのでは?」という疑義が広がって行く危険性がある。

 

そして、日弁連の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」には事実認定に際して、「その影響にも十分配慮しなければならない」となっている。

 

中居正広の弁護団は、「第三者委員会による中居正広による性暴力認定」が日弁連のガイドラインの指針を満たしていないと反論し、報告書が中居正広に多大な影響(社会的な名誉の毀損)をもたらしたと主張している。

 

恐らく、中居正広の弁護団は名誉毀損裁判に持ち込むだろうね。

 

因みに、もし訴訟になった場合、中居正広の不満の矛先は第三者委員会だけど、第三者委員会はあくまでもフジテレビの委託を受けて設置されたものなので、もし仮に裁判となった場合には、フジテレビが被告になる。

 

注意して欲しいのは、バトルの構図としては、「中居正広 VS 女性Aさん」ではなく、「中居正広 VS フジテレビ」であると言うこと。

 

では、ここから、第三者委員会が中居正広の弁護団に対して回答した文章を考察してみる。

 

当委員会と双方代理人との折衝の経緯について、以下に補足説明いたします。

 

当委員会が、2025年1月31日に中居氏代理人と面談した際、中居氏代理人がヒアリングへの協力と守秘義務の解除について前向きな姿勢を示したこと、当委員会から中居氏代理人に対し、「第三者委員会は、2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではなく、その前足と後足が大事と考えております」と説明し、その旨のメールを送信したことは事実であります。

 

当委員会からの上記説明の趣旨は、2人の密室で何が行われたかは女性Aの人権及びプライバシーに関わる事項を含むものであること、双方の間で守秘義務を負う示談契約が成立していたことから、当委員会が作成する調査報告書にその具体的な状況や行為態様についての内容を記載することは想定しておらず、仮にこの点について双方のヒアリングを行うことができなくても、その前後の客観的状況(上記説明とメールでは「前足と後足」と述べています)について調査をして事実認定をすることができれば、本事案について当委員会が評価をすることは可能である旨を伝えたのであり、中居氏代理人もこの趣旨をご理解されていたと思われます。

 

2025年1月31日、中居正広の代理人と第三者委員会との面談が実施された。

 

その場において中居正広側はヒアリングへの協力および守秘義務の解除について、前向きな姿勢を示した。

 

その際、第三者委員会は中居正広の代理人に対して、「当委員会は、2023年6月2日の“密室”における出来事そのものを直接の調査対象とはしておらず、むしろその前後の客観的経過、すなわち“前足”と“後足”の部分を重視している」との趣旨を説明した。

 

この「密室の出来事を直接の調査対象としない」という説明の背景には、以下の重要な法的および倫理的配慮があった。

 

第一に、当該密室内での出来事には、女性Aさんのプライバシーおよび人格的尊厳にかかわる情報が含まれる可能性が高く、これを不用意に公的報告に記載することは、二次被害のリスクを高める。

 

第二に、当該事案においては、すでに当事者間で守秘義務を含む示談契約が成立していたため、調査報告書に具体的行為内容を盛り込むこと自体が、法的制約を伴う事となる。

 

こうした前提のもと、第三者委員会は仮に両当事者からの詳細なヒアリングが得られなかったとしても、前後の時系列的・物的証拠や、関係者からの証言等を総合的に検討することにより、一定の事実認定と評価を行うことは可能であると判断した。

 

この説明の趣旨については、中居正広の代理人も十分に理解されたものと第三者委員会は受け止めていた。

 

当委員会は、中居氏代理人と並行して、女性A代理人にも、ヒアリングへの協力と守秘義務の解除を提案し、折衝を行いました。

 

これと並行して、双方代理人は、双方で合流した守秘義務を解除するかどうかについて、当委員会を介さずに直接交渉を行ったところ、同年2月12日に中居氏代理人から当委員会に対し、

 

・(女性Aの)弁護士からは「委員会の調査に対して守秘義務を全面的に解除してほしい」との提案がありましたが、これについてはお断りいたしました。

 

・当方としてはこれまでの先方の守秘義務の履行については懸念するところがあり、委員会からのヒアリングとはいえども、守秘義務の全面解除することによって、新たな情報の流布が生じる可能性が充分にあると思います。

 

との連絡がありました。

 

第三者委員会は、中居正広側の代理人との折衝と並行して、女性Aさん側の代理人に対しても、ヒアリングへのご協力および守秘義務の解除について提案を行い、個別に協議を進めていた。

 

この過程において、第三者委員会を介することなく、中居正広と女性Aさんの双方の代理人の間で直接的な交渉が行われ、共通の守秘義務条項を解除するか否かについて協議がなされた。

 

そして、2025年2月12日、中居正広側の代理人より第三者委員会宛に以下の趣旨の連絡があった。

 

「女性Aさん側の弁護士から、委員会の調査に対して守秘義務を全面的に解除してほしいとの提案があったものの、この提案を受け入れない判断をしたこと。

その判断の理由として、中居正広はこれまでの女性Aさんの守秘義務の履行状況に懸念を抱いており、たとえ第三者委員会による調査という限定された文脈であっても、守秘義務を全面的に解除した場合には、新たな情報漏洩や流布が生じる可能性があると強く危惧していること」

 

これらの主張には、法的観点とともに心理的・感情的な背景も存在するものと推察される。

 

性被害に関わる示談や守秘義務の解除には、当事者のトラウマ、対人不信、または名誉に対する強い防衛感覚が複雑に絡み合うことが多く、これを一方的な非協力と捉えるのではなく、リスク回避的な心情の表出として理解する必要がある。

 

当委員会は、女性A代理人からは守秘義務の全面解除に応じる旨の回容を得ていたことから、引き続き中居氏代理人に守秘義務を解除できないか折衝を続けましたが、同年2月15日に中居氏代理人から当委員会に対し、

 

・当方は、これまでの相手方の「守秘義務の遵守」に関して極めて強い懸念を持っております。

 

・今回、全面的な守秘義務解除をした場合、貴委員会の車情聴取だけでなく、その他の場面での情報開示の可能性があると考えています。

 

・ちなみに調査委員会が「一昨年になされた女性Aの申出(申告)に対するCXの対応の是非」について調査する上では、「一昨年に女性AがCXに申告した内容」が再現できればそれ以上に説明の必要はないのではないかと考えます。守秘義務の全面的な解除まではする必要はないのではないでしょうか。あくまで現在の守秘義務を前提として貴委員会の事情聴取に十分に対応できるのではないでしょうか。

 

・ご提案ですが、「調査委員会で話した内容を外部には一切話してはならない」ということを双方で約束するというのはいかがでしょうか。

 

との連絡がありました。

 

末尾の提案について、当委員会で検討しましたが、女性Aに対して元々の示談契約における守秘義務を超える新たな守秘義務を課すものであって、合理的な提案とは思われず、女性A代理人に提案することは適切でないと判断したことから、同年2月20日、当委員会から中居氏代理人に対し、この提案には応じられないと回答しました。

 

その結果、同年2月21日に中居氏代理人から当委員会に対し、「貴委員会からのヒアリングに応じます」「先方との守秘義務は解除せず、存続を前提としてお願いします」との最終回答がありました。

 

当委員会としては、女性Aが守秘義務を負い中居氏が守秘義務を負わない状態でヒアリングを行うことは、調査の中立性・公平性に欠けると判断し、また本事案の具体的内容について双方のヒアリングを行うことができなくても、その前後の客観的状況や上記2においと列挙した各種証拠の調査をして事実認定をすることができれば、本事案の人権上の意味づけや人権侵害の重大性について当委員会が評価をすることは可能であると判断したことから、双方とも示談契約における守秘義務を負っている状態でヒアリングを行うことを決め、その旨を双方代理人に伝えたうえで、双方のヒアリングを行いました。

 

 

当第三者委員会は、女性Aさんの代理人より守秘義務の全面解除に応じる旨のご回答を得ていたことから、引き続き中居正広の代理人に対しても、同様のご対応を検討いただけないか、協議を重ねていたが、2025年2月15日付で中居正広の代理人より第三者委員会に対し、以下の主旨の連絡があった。

 

「女性Aさんによるこれまでの守秘義務の遵守状況に対して、中居正広としては極めて強い懸念を抱いている。

守秘義務を全面的に解除した場合、第三者委員会における事情聴取のみならず、その他の場面においても情報が開示されるリスクがあると考えている。

なお、第三者委員会の調査目的が「2023年に女性Aさんよりなされた申出に対するフジテレビ側の対応の是非」である以上、「女性Aさんが当時、どのような申出を行ったのか」が明らかになれば、2023年6月2日の中居正広のマンションで発生した詳細な状況説明は必ずしも必要ないのではないか。

守秘義務を全面解除することなく、現在の守秘義務契約の範囲内であっても、当委員会の事情聴取には十分に対応可能と考えている。

そこで一案として、「調査委員会で話した内容は、外部には一切開示しないことを双方で誓約する」という新たな合意を結ぶことを提案したい」

 

第三者委員会は、「調査委員会で話した内容は、外部には一切開示しないことを双方で誓約する」という中居正広の代理人の提案について、女性Aさんに対して、元々の示談契約に規定された守秘義務をプラスして、さらに新たな制約を課す内容に該当するものであると評価し、これを女性Aさんに提示することは、人権的観点からも適切とは考えられず、2025年2月20日付で中居正広の代理人に対し、その提案に応じかねる旨の回答をした。

 

その後、2025年2月21日、中居正広の代理人より第三者委員会に対して、最終的に以下の意思表示がなされた。

 

「第三者委員会からのヒアリングには応じるが、女性Aさんとの守秘義務は解除せず、既存の守秘義務契約を前提として対応することを求めたい」

 

これを受けて、第三者委員会では、2023年6月2日に中居氏自宅マンション内で発生したとされる女性A氏との性的トラブルについて、仮にその具体的な内容に関する双方からのヒアリングが困難であったとしても、当該出来事の前後における客観的事実関係を明らかにすることができれば、本事案における人権上の意味づけ、ならびに人権侵害の有無・重大性について、第三者委員会として独立した評価を行うことは十分に可能であると判断した。

 

ゆえに、双方が依然として示談契約に基づく守秘義務を負っている状況を前提としつつ、その状態でのヒアリングを実施することを決定し、当該方針について双方代理人に説明したうえで、両者からのヒアリング(事情聴取)を実施した。

 

(続く)

 

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