冬の日差しをうけて、ひとり歩いていた。
途中で、目の前を横切る元気な中学生を見ると、胸がキュッと切なくなる。
その眩しい若さに嫉妬する。
若さが恋しくなる。
目を閉じると、昔のまま。
中学生の頃の自分を思い出す。
死の恐怖なんて、1ミリも知らなかった。
もう一度、あの頃に戻りたい。
あの頃の無邪気な自分に。
目を開くと、次の瞬間、手術への不安感や死ぬ事への恐怖心に襲われる。
身動きが取れない。
目から大粒の涙が零れ落ちる。
全身が深い悲しみに包まれて、まるで金縛りにあったように動けない。
とまったままの心と身体。
他人が追い越してゆく。
手術が失敗するなんて、そんな事ないよね?
自分が死ぬなんて、そんなの有り得ないよね?
その背中に、どれだけ問いかけても、答えは返ってこない。
誰かに包んでほしい。
誰かに背中を押してほしい。
手術が失敗するはずはない!
自分が死ぬはずはない!
そうだよね?
大丈夫だよね?
うまく行くよ。
きっと、うまく行く。
信じるしかない。
ここまで来たら、もう信じるしかない。
でも、怖いんだ。
怖くて、たまらないんだ。
逃げたい。
手術の不安や死の恐怖から逃げたい。
今更ながら、反出生主義者の意見に共感してしまった。
こんなにも苦しい思いをするなら、それなら、生まれてこなければ良かったと…。
人間はすべて、誰もが、死の恐怖に直面したとき、むごい絶望の時間を経験する。
この絶望感は、まるで砂漠の中を、ただひとり彷徨い歩く旅人の上に、死せる太陽がずっしりと落とす恐ろしいヒカリを想起させる。
恐ろしい。
なんで自分だけ。
自分はこんなにも苦しくて悲しいのに、道ですれ違う他人は笑っている。
私が恐怖を感じているとき、あなたは何も知らずに笑っている。
なんて不条理な世の中なんだ。
この絶望と恐怖、一体どうすればいいんだ?
生まれてこなければ、こんな苦しみを味わう事なんて、なかっただろうに…。
こんな苦しみや恐怖を味わうぐらいなら、生まれてこない方が良かったのか…。
何も楽しめない。
何もする気がおきない。
とにかく怖い。
手術が失敗するかも知れない事が、怖い。
死んでしまうかも知れない事が、怖い。
怖い。
怖いよ。
怖くてたまらないよ。
恐怖で頭がおかしくなりそうだ…。
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