先日、偶然視聴したニュースの特集コーナーで「福岡ストーカー殺人事件」の解説をしていた。
福岡ストーカー殺人事件とは、JR博多駅前の路上で、被告の男性が、元恋人の女性の胸や頭などを包丁で何度も刺して殺害した事件のこと。
ネットメディアのコメント欄では、被告男性の外見が「いかにも凶悪なことをやりそう」とか、「被害女性は、なんであんな暴力的な男性と付き合ったのか？」などの意見が多く寄せられたとのこと。
被害女性は警察に対して、「被告男性が別れてくれず、ストーカー行為をしている」と言った相談をして、警察は被告男性に警告を発していたようだ。
ここで考察したいのは、「それでも被害女性は、一度は被告男性のことを好きに思って、付き合った」ということ。
いかにも暴力的で危険な香りがする外見を有する男性に魅了されてしまう女性の心理とは、一体何なのか？
まずは、単純に生物学的な見解で考察する。
強い男性は「強靭な肉体を武器に獲物を狩ってくれるオス」であり、「外敵から守ってくれる頼もしいオス」という認識を女性が持つので、「暴力的な男性が女性からモテる」という結論を導き出すことが出来る。
但し、現代の資本主義経済の世の中においては、物理的（肉体的な）な力の行使力よりも、経済力や社会的な地位の方が「女性を守ってくれる男性」となり得るので、生物学的な考察は、あまり意味がないかも…。
では、ここから心理学的な考察をしてみよう。
後でDVやストーカー事件の被害者になってしまうリスクがあることを想定出来るにもかかわらず、一定の女性にとっては、暴力的な男性が初期に魅力的に見えることがある。
なぜか？
それは、暴力的な男性というのは、自己肯定感や自己効力感、自己信頼が高い場合があり、それを分かりやすく表現している強そうな肉体や雰囲気を、女性は「オスの魅力として受け止めてしまう」からなのだろう。
特に自己肯定感や自己効力感が低い、自分に自信がない女性にとっては、おそらく、「鍛えられた肉体や暴力的な雰囲気を有するオス」と付き合うことで、「自分も強くなれそうな気分を味わうことが出来る」という代理満足的な心の充足感や、「誰かに襲われた時には、そのオスが自分の為に戦ってくれて、守ってもらえる」というお姫様願望的な幸福感を満たしてくれるからなのだろう。
それゆえ、一部の女性は、本来は嫌悪すべき男性の暴力性を合理化し、許容したうえで好きになるのだと思う。
人は基本的に、合理化（ネガティブな事実を軽減する合理的な理由や言い訳を提供する心理的なプロセス）が好き。
自分の感情や思考、行動や決定を正当化する為に、人はいつだって合理化を好む。
合理化は、恋愛関係において相手の欠点にポジティブな理由づけを与えて、マイナス部分を正当化して、それを問題化させない。
そうやって人は、「好きになった人に対して感じる、様々な愛情や感情的なつながりを守り、維持しようとする」のである。
恋愛初期は合理化を通じて、人は相手が有する特性のポジティブな面だけを拡大解釈をして好意的に受け止める。
おそらく、福岡ストーカー殺人事件の被害女性も、初期の恋愛段階では、被告男性の暴力性を「自分が襲われるリスク」ではなく、「強いオスとしての魅力」として捉えていたのだろう。
それゆえ、乱暴そうな男性だけど、強くて頼もしくてカッコイイという認識のもとで付き合ってしまったのだと推測できる。
しかし、付き合った後には現実的な問題や日常生活のストレスが増加し、女性は合理化だけでは問題をポジティブに解決できない場面と直面することになる。
やっぱり暴力的で乱暴な男性は嫌だ！
そして、女性は男性と別れようとする。
しかし、男性は女性と別れてくれない。
それなら、女性は警察に通報する。
警察が男性に警告を発する。
それに対して激情した男性は、刃物で女性のことを…。
これが、幾度となく繰り返されてきたストーカー殺人事件の流れ。
と、言う事で、女性のみなさん、男性の暴力の被害に合わないように、恋愛や結婚で本当の幸せを掴み取ってください。
え、本当の幸せって…？
それは、もちろん、「貧乏でも幸せな恋愛」と「貧乏でも幸せな結婚」のことだよ。
大きな経済力も持たず、強靭な肉体も有していないけど、女性の心に寄り添って、女性の心を受け止める事ができる男性こそが、本当に女性を幸せに出来る男性である…と思う、今日この頃です。
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